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昨日、2022年9月30日に久喜市議会令和4年9月定例会が閉会しました。

今回の議会では、令和3年度決算、そして新ごみ処理施設など、重要議案の審議が重なったため、議案調査に多くの時間を割くことになりました。今回の議案調査は、わたしにとっては久喜市の事業全体を紐解く作業でもあり、また過去の歴史をめぐる長旅の第一歩を踏み出したような感覚でもあり、議員として非常に充実した時間を過ごすことができました。

今回の議会では、令和3年度決算の賛成討論を行わせていただくなど、所属する会派内で責任ある役割をいただけたことも非常に良い経験になりました。この場を借りて会派内の議員の皆様にはお礼を申し上げます。

さらに、今回の議会の最大の争点だった新ごみ処理施設の建設については、自分自身が地方議会の中で、重要な1議席を担っていることを改めて実感した審議となりました。一部のメディアで、まるで反対することが正論であるかのような論調で報じられたこともあり、自分自身でも丁寧に審議し、賛否を表明しなければならないとから、この経緯を丁寧に洗い出す作業に時間を費やしました。

大型プロジェクト参画経験を元に審議

そのような中で、これは議員になる前から自分自身に期待していたのは、これまでのビジネス経験が生きた審議ができるのではないかということでした。

わたしは、サラリーマン時代に、数十億円規模の大型システムプロジェクトに関わらせてもらった経験があります。会社の命運をかけたプロジェクトの中で、ローンチまで数年、さらにローンチ後の安定稼働までさらに数年間、常に課題に直面し先の見えない日々は、辛くて苦しいことばかりでした。プロジェクトの遅延が及ぼした影響を考えると、プロジェクトが進行し着手段階に入ってからは、私は3つの点が重要だと考えています。

①設計上の手戻りを防ぐ

わたしは、前職では大型プロジェクトには途中から参画したのですが、すでにそのときは、業者選定段階で、業者とともに機能ごとに要件定義と基本設計を何年も繰り返しているような段階でした。大型プロジェクトになると、要件定義を詰めるだけでも、相当な時間がかかります。さらには業務が複雑怪奇だったため、業務フローの策定や、要件定義に落とし込む作業すらままならないような状況で、その後の基本設計や詳細設計を進める段階でも、さまざまな手戻りが発生し、スケジュールの遅延を繰り返していました。実装する各機能は密接に関連しており、Aという機能の要件が変わると、Bに影響するということなんて当たり前にありますので、プロジェクトが始まれば、課題が出ても、ある程度は「見切りながら進めていく」勇気が大事だったりすることも以前の職場からは学びました。

②コミュニケーションコストの増大を防ぐ

要件が決まると、どんなものが出来上がるのかを運用担当者に説明したり、ビジネスサイドに説明したりしながら合意形成をはかります。それだけでも相当な時間と労力を費やしますので、もし、機能要件が変わると、もう一度説明しなければなりません。もちろん業者側とも協力してこのような作業を進めていくことになりますが、大型プロジェクトが遅延すれば、このような作業を手戻りしながら、繰り返していくことになるので、プロジェクトで抱えた人の人件費、プロジェクトの推進に必要な備品や場所のコスト、そして上層部やステークスホルダーの方々への説明責任を果たすための膨大なコミュニケーションコストが発生してしまうのは、防がなければなりません。

③人の「性」を見極める

そしてなんといっても、プロジェクトがうまくいくかどうかを左右するのが「人」です。プロジェクトは多くの「人」によって構成されます。文句だけを言って自分では何もやらないような人もたくさんいました。またほとんどの人は責任が問われる立場には関わりたくないと傍観を決め込むようになります。さらには、プロジェクトの責任者を失墜させ、自分の立場を有利にしたり誇示したりする人も出てきます。これらは全て人の性(さが)ですので、そのような人がいても仕方ないと思っています。ただ、プロジェクトを前に進めようと戦っている人たちは、そのような人の「性」を見抜き、意に介さないようにすることも時に重要になることがありました。そして、上層部はプロジェクト進行することを決めているにもかかわらず、進行に対してネガティブな人を排除するという組織の人事も時には必要だということも学びました。

色々長くなりましたが、今回は、久喜市の未来を大きくする、総事業費422億円の超大型プロジェクトです。その内訳は、解体費12.4億円、建設費264.3億円、運営費145・3億円。建設費だけを見ても、わたしが関わっていた大型プロジェクトのさらに数倍の規模ですので、スムーズにいくことなんてまずあり得ませんし、関わる人が多いだけに、いろんな人の「性」が見える事業だと思っています。

今のわたしは新人議員の立場で、これまでのゴミ処理施設の建設に関する議論には関わったことはありませんでしたが、大型プロジェクトの中にいた経験から、このプロジェクトが停滞すると、想像を絶するデメリットが発生してしまうことだけはすぐに理解できました。

言葉と行動を一致させること

わたしの意見としては、これまで久喜市が合併する平成22年よりも前から進んできた議論には積極的に参加することなく、今回の落札結果だけを見て「税金の無駄遣いだ」と言うのは、明らかにフェアじゃないということです。

久喜市のごみ処理施設はすでに激しく老朽化しており、待ったなしに新しいごみ処理施設が必要な状況です。SDGsの観点からも、環境問題への配慮は地球規模で求められていますし、久喜市もSDGsの精神のもとでゼロカーボン宣言を出しています。ゴミ処理施設は迷惑施設として捉えられることが多い中、併設する公園整備などを条件に菖蒲地区で受け入れてもらえることとなりました。そこで必要だと考えられた機能要件が、検討委員会などで検討され、コンサルなどの業者を入れて整理した上で、入札時に全ての業者にその内容が公開されています。今回の議会中で「総合評価方式での選定だったことで高額かつ不要な設備が含まれることになってしまったのではないか」という指摘もありましたが、その選定方式に至った経緯も、ごみ処理施設整備基本計画検討委員会の中で議論がされています。

https://www.city.kuki.lg.jp/smph/kurashi/gomi/gomi-shisetsuseibi/sentei/nyuusatsukoukoku.html

https://www.city.kuki.lg.jp/shisei/kyodo/sanka/fuzoku/fuzoku/shizen/gomishoriseibi/kaigiroku/kaigiroku.html

これだけの超大型プロジェクトですので、いま立ち止まったら、プロジェクトを進めようと尽力している執行側の人たちの時間もパワーも削られていきます。立ち止まってしまうことで発生するお金の無駄遣いを防ぐことが、今のタイミングでは、最も重要です。

このような理由から、久喜市合併以前から議論されてきたごみ処理施設の建設は、もう今の段階ではみんなが覚悟を決めて前に進む以外に道はないと考え、選挙公約の中でも掲げていた通り、議案にも賛成しました。

なお、友人の元格闘家・大山俊護さんに教えていただいた「行動は動機を強化する」という言葉があります。大山さんの書籍に関わらせていただいた2020年から、この言葉を自分の中の行動指針とすることにしました。2022年4月に議員として当選させていただいたばかりで、いまは目の前の仕事に取り組みながら、小さな行動を重ねて自分の中の動機を育てているような状況です。

いまは議会が閉会してすぐに活動報告書を地域の方に配布しております。他の地域の先行事例を調査したり、地域の方の要望を取りまとめたりといった行動を続けることができていますので、このような行動が、次の新しい動機や使命感を生み出してくれるのではないかと、自分自身に期待してみたいと思います。

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