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先日、島根県大田市井田地区の「井田いきいきタクシー」の行政視察を行なってきましたので、報告させていただきます。

近年の人口減少、少子高齢化の進展をはじめとする社会環境の変化に伴い、地域の生活機能はますます低下してきています。

地域の商店や医療の衰退、公共交通サービスの低下、一次産業の担い手不足や耕作放棄地の増加、深刻化する空き家問題など…。

地域が直面する課題は多様化・複雑化し、もはや行政だけで対応するのは不可能な時代となりました。

年々厳しくなる財政状況の中、限られた行政資源をどこに振り向けるのかは、久喜市議会でも非常に重要なテーマとなっています。その一方で、手が回らなくなりつつある公共サービスを維持・継続させるために、住民自らが立ち上がって公益的な活動を行う事例も出てきています。

今回視察に訪れた鳥取県大田市井田地区の「井田いきいきタクシー」は、まさに住民主体によって地域の公共交通サービスを維持しようとする取り組みです。

井田地区の公共交通は、元々、市直営バス1路線のみでしたので、地元タクシー事業者を活用したデマンドタクシーの実証実験をおこなわれましたが、効果を得られず、R4に事業撤退。その際に地域に設立された協議会が主体となり、国や県の補助金を活用して事業を継続。1人あたり月額3300円で地区内の決まったルートの乗降を可能とする乗合タクシーのサブスク事業を展開しました。現在は市の補助金(年200万円弱)と事業収入(年間約100万円)で賄っており、まさに住民による住民のための公共交通サービスが展開されているそうです。

(大田市は、元々あった路線バスの赤字分を上限にこの事業の補助金に充当)

とはいえ、登録者は25名で、当該地区の住民全体の5.17%に留まっており、また保有タクシーも1台のみで、いまのサービス内容では、思ったほど需要が伸びていないという実情もあるようです。事業の効果を見る限りでは「このやり方を久喜市で真似したい!」とまでは思えなかったというのが率直な感想ではありますが、公共交通の今後のあり方を実例から学ぶことができた良い機会となりました。

公共交通については、わたしも以前に、MaaSの活用や自動運転技術などの先進事例を調査したうえで議会で取り上げさせてもらいました。しかし、個人的には、「このやり方なら久喜市でも成功しそうだ!」と言えるような最適な答えはまだ見出せておりません。

※前回の議会でも「久喜市で実証実験を行いながら、先行事例を作っていけないか」という提案でした。しかし、仮説もろくにないのに、実証実験なんてできるわけもありませんよね。いま思えば、抽象的でゴールのない中途半端な議論になってしまったなぁと反省しています。

もちろん地域住民のみなさんの意見として、公共交通サービスの充実を執行部に要望するのも議員の役目ですが、どうしたら持続性を担保できるのかの議論なくして、地域の公共交通課題の解決はあり得ません。

いつか自分の言葉で政策提案できるようになりたいと強く感じた視察となりました。何か良いアイデアをお持ちの方や、国内外で成功事例をご存知の方がいたら、ぜひご意見をください。

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