姿をあらわしはじめた久喜市地域公共交通計画。南栗橋と東鷲宮、久喜を繋ぐバスを運行する方針が示される。
昨年末に第3回地域公共交通会議が開かれ、久喜市の公共交通に関する施策が、徐々に姿をあらわしてきました。
今年3月末までに、久喜市の公共交通に関する基本計画が策定され、その後、来年度には、「利便増進計画」の策定が行われることになります。現在は、久喜市地域公共交通計画(案)のパブリックコメントの募集が始まっておりますが、その後には、パブリックコメントの結果を受けて、第4回の地域公共交通会議(3月開催)で結果が示され久喜市地域公共交通計画が確定することになります。
このようなことから、久喜市民の方が基本的な方針に対して意見を言えるのは今しかありませんので、ぜひ下記のパブリックコメントの募集ページから意見を表明してみてくださいませ。
※令和7年1月24日(金)までの受付となっています。
https://www.city.kuki.lg.jp/smph/shisei/kyodo/sanka/public/boshu/kotsukeikaku.html
私自身は、これまで、特に栗橋地区はバスが通っていなかったことから、地域格差のない公共交通政策を議会で訴えてきました。その結果などと言うつもりは全くありませんが、下記の図のように、南栗橋と東鷲宮・久喜方面を結ぶ支援交通(コミュニティバスまたは市内循環バス)が運行される方針が示されたことは、南栗橋(旧豊田地区)に住む一人としては非常にありがたく、ポジティブに受け取っているところです。
しかし、その一方で、栗橋駅は、幹線交通である鉄道が東鷲宮や久喜と接続していることから、支援交通(コミュニティバスまたは市内循環バス)は通らないようで、旧栗橋地区や旧静地区でバスが欲しいという要望をお持ちの方たちに対しては、今のところポジティブに説明できる情報がありません。また、久喜地区や菖蒲地区・鷲宮地区については、①アリオ鷲宮②モラージュ菖蒲③余熱利用施設及び(仮称)本多静六記念 市民の森・緑の公園④菖蒲仲橋(菖蒲地区は鉄道駅がなく、白岡駅や蓮田駅へ繋がる交通結節点となる菖蒲地区の方にとって重要なバス停)の4箇所がバス運行の主要な交通結節点となることは理解できましたが、それ以外のことがどうなるのかもよくわかっていませんでした。
そこで、本日、担当課のところに伺って、市の事業推進における予算などの制約事項、方針の検討経緯、事業者との対話状況などを伺ってきました。
結論としては、地域公共交通を再編するといっても、新たに路線を拡大する予算がつくわけでもなく、劇的に変化する新たなテクノロジーがすぐに期待できるわけでもなく、あくまでも現状の事業をベースに、効率化を計りながら、路線の組み替えを行い、そこで捻出した経費から新たな路線を創出していく方針であるとのことでしたので、既存の路線は効率化が図られていく、つまり乗客数が少ない路線は縮減されていくことになるのではないかと推察しています。現在はバス路線の利用状況、バス停の状況などを市の職員が総出でチェックしながら見直しているような状況とのことです。
また、近隣自治体や民間企業との協力関係の構築に向けた交渉状況も確認しましたが、実現に向けたハードルは非常に高く、あまり多くのことを期待できる状況ではないようです。
やはり「ここにバスを通してほしい!」「なんでここにバスがないんだ!」と言うのは簡単ですが、実際に検討してそれを実現するには、高いハードルがあることを改めて痛感しました。
久喜市としていまできる努力を行っていることは確認したつもりですが、何か良いアイデア、お力になっていただける事業者様の情報などがございましたら、ぜひご連絡ください。
なお、今年4月以降は確定した地域公共交通計画に基づき、利便増進計画の検討が進んでいくことになります。ここでは、主に、路線の組み替えや、バス事業者の選定、路線の見える化(乗降場案内情報の整備など、誰にとってもわかりやすい公共交通に向けた施策)が検討され、基本計画で策定した公共交通の理念が実現できる具体的な施策が盛り込まれていくことになります。
高齢者の運転による事故が増え、免許の自主返納の動きが加速した結果、公共交通の再編に対する期待が高まっていたのは事実ですが、自分の住む自治体の現実に触れると、もう少し現実的に考えていかざるを得ないのかもしれませんね。
こうなると、自動運転技術に期待したくなってしまいますが、どうでしょうか。自動運転技術を示す「自動運転車対応指数(AVRI)」を見ると、2020年現在で日本の世界ランキングは30位中11位。日本政府は、自動運転技術を国の成長戦略の一環と位置づけており、特に2020年代後半までに全国的に自動運転を導入することを目指しています。実際にいくつかの先進自治体で実証実験が進んでいますが、完全実用化にはまだまだ時間がかかりそうで、こちらもすぐには期待できない状況です。わたしが境町の「レベル2」で運行する自動運転バスに乗った時の感想では、「確かにすごいけど、やはり完全自動のレベル5には程遠く、実用化の道のりはまだまだ先だな」という印象でした。また境町に住む高齢者の方に聞いたところでも、「見栄えはいいが、トロトロ運転で誰も乗らない」といった否定的な意見も出ていました。自動運転が市民権を得ていくには、日本社会全体が自動運転に対して、受容していく時間が必要なのかもしれません。
なお、世界的な自動運転技術の先進国であるシンガポールでは、実用化に向けた環境整備がかなり進んでいるようで、その背景には、政府の強力な後押しや実証実験がやりやすい環境整備があります。
いまの日本は、社会保障費の増加や防衛費の増加などによって、高い税金を支払っているのに、賃金は上がらず、自分たちの生活を切り詰めていて、豊かな生活を実感できていない人がほとんどだと思います。政府の役目として、セーフティネットの構築と維持に力を注ぐのは当たり前なのですが、やはり便利で豊かな生活を送るための施策、夢を与える施策にも力を注いでもらいたいものです。また、わたし自身は、地方議員としてできることには限りがありますが、身近な方々と公共交通のあり方を議論したり、意見を募ったり、今活動できるメディアで発信するなどして、少し先の社会を想像しながら、できることに取り組んでいければと思っています。
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