地方議会、そして地方自治体の職場の心理的安全性とは?
先日、わたしが久喜市議会令和7年2月定例会議で一般質問を行っている最中に、あるベテラン議員から受けたヤジ(ベテラン議員は“隣の議員と話したことが聞こえたようだ”と言い訳しているが)について、SNSとこのホームページでその一部始終を報告したところ、わたしの尊敬する大先輩の方から、「議会には心理的安全性は無いのか?」というコメントをいただきました。
「わたしの尊敬する先輩」というのは、某大手グローバル物流企業で役員まで務めた方で、数々のプロジェクトマネージメントに関わってきた方です。そして退任後も自ら経営コンサルティング業を立ち上げ、プロジェクトマネージメントを推進・サポートしたり、組織のマネジメント改革に関する書籍を執筆したりと、組織運営に関する豊富な知識と経験をもつ方。きっとみなさんの中にも、「議会ってなんで喧嘩ばかりしてるの?」って思っている方、いますよね。
まあ、私たち議員同士は、対等の立場ですので、多様性に耳を貸さない人に対しては、しっかり意見を言っていけばいいだけです。ただ、問題は、やはり議員から地方自治体の職員に対しての言動です。地方議会や自治体の職場では、時として議員の発言が、自治体の職員に対して過度な圧力となり、心理的安全性を損なっていると思われる場面があります。
※地方議会や地方自治体の職場における心理的安全性を考える時、地方自治体職員の上司と部下、市民と議員や職員との関係性も含まれますが、今回の投稿では、自分自身が地方議員という立場であり、自分自身の立ち振る舞いに目を向けるという観点から、今回は、議員と市の職員という関係性についてのみ触れることにします。
例えば、議員が議会で職員の業務遂行について厳しく追及する際、適切な指摘を超えて、業務を執行している人の仕事そのものを否定するような発言をしたり、業務上のミスを執拗に責め立てたりするケースがあります。また、職員が違う意見を述べたとしても、「それはおかしい」「それではダメだ」と一蹴されるような環境では、職員が自由に意見を述べたり、創意工夫を発揮したりすることは難しいでしょう。
では、こうした状況の中で、地方議会や地方自治体の職場における心理的安全性はどのようにしたら確保されるのでしょうか?
わたしが知る限り、心理的安全性が担保された環境では、その組織で働く人は失敗を過度に恐れることなく、自由に意見を述べ、のびのびと仕事をしていたと記憶しています。それは、単に「自分の言いたいことを自由に言うことができれば良い」という意味ではありません。だって、誰かが言いたいことだけを言っていても、そこにいる他の人に言葉や感情やプライドを飲み込ませているようなら、その組織に心理的な安全性が構築されることはないでしょう。
そこで、議会や地方自治体の職場における心理的な安全性をつくるためには、どんな取り組みが必要なのかをAIに聞いてみたところ、以下のような取り組みが考えられるとのことでした。
- 議会での発言ルールの明確化
- 批判が個人攻撃にならぬよう、政策や業務内容に焦点を当てた建設的な議論を促す。
- 議員の発言に対して基準を設け、誹謗中傷や過度な非難を防ぐ仕組みを導入する。
- 対話とフィードバックの文化を醸成
- 職員が自由に意見を述べる場を設け、議員との建設的な意見交換を促進する。
- 失敗を許容し、学びの機会とする文化を育てる。
- 研修・ワークショップの実施
- 心理的安全性の重要性について、議員と職員が共に学ぶ機会を設ける。
- 適切なコミュニケーションスキルやフィードバックの方法を学ぶ研修を実施する。
- 第三者機関の活用
- 外部の専門家やオンブズマンを活用し、職員が安心して相談できる窓口を設ける。
- 議会や職場の環境改善に向けた客観的な評価を行う。
地方自治の現場では、議員と職員が互いに緊張関係を持ちながら行政執行を正しく進めるとともに、時として市民サービスの向上のために政策を議論し、協力し合い、地域の発展に貢献することが求められます。そのためには、職員が安心して働き、意見を述べられる環境を整えることも必要ではないでしょうか。議員と職員は上司と部下の関係ではないはずなのですが、私たち議員は、職員さんからすごく丁寧に対応をしてもらえるんです。もちろん、丁寧に対応していただけることは、本当にありがたいことだし、嬉しく思います。でも、それを当たり前と感じてしまったり、自分が偉いと勘違いしてしまったら、きっと自分が上司の立場であるかのように職員に雑務を押し付けたり、自分の要望を最優先で対応することを要求したりするようになってしまうのでしょう。そしてそんな言動をしている人を、善良な市民は応援するのでしょうか。
久喜市議会では、昨年12月に議員及び職員に向けて「議員によるハラスメントに関する実態調査アンケート」を実施しました。いまのところは、まだ結果の公開方法や時期の詳細は決定していない状況ですが、基本的には個人情報保護法に触れぬ形で、個人名以外は公開されるという方向で議論が進んでいます。アンケート結果を見るかぎり、議員が職員さんの心理的安全性を阻害しているケースがこれまで多々あったことは確認しています。このアンケート結果を今後、どのように自分自身の行動に、そして議会の運営に活かしていくかが求められています。議員である前に、人としての振る舞いが求められているというわけです。
わたしは心理的安全性の確保は、結果的に行政サービスの向上と業務執行の精度向上につながる可能性のある重要な課題だと考えています。これを機に、どのようにして久喜市議会や久喜市役所といった職場環境の心理的安全性を確保していくべきか、議論を深めていけたらと思っています。
もし何かご意見や情報などがございましたら、ぜひご連絡くださいませ。
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