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道の駅の先進事例をどうしても目にしておきたくて、千葉県安房郡鋸南町にある道の駅 「保田小学校」を訪問してきました。

※久喜市では、菖蒲地区に道の駅が整備される計画があります。

この「保田小学校」は、廃校となった小学校を活用し、地域住民の多様な経済活動の拠点、歩行者交通を促進する「パーク・アンド・ウォーク」を促進するウォーキングコース拠点、そして長期避難に対応可能な防災拠点など多くの機能を持つ、多機能型の道の駅として再生した興味深い事例です。

学校の教室を活用した店舗がズラリと並ぶ。どこか懐かしさを感じつつも、ショッピングモールを歩いているような感覚にもさせられる。

この施設の先駆性は、(1)かつて地域コミュニティの核であった小学校を、見事に都市農村交流・複合商業施設に生まれ変わらせたこと(2)地域包括支援センターが先進的に取り組んできた認知症予防やポールウォーキングの取り組みを活かし、「道の駅」を拠点としてウォーキングコースやコース沿いの空き家を活用した休憩所等を整備し、地域の交流拠点を創出したこと(3)東日本大震災の教訓と学校建築の特徴を活かし、簡易宿泊所と調理設備、入浴施設、発電・蓄電設備などを設置したことなどが挙げられています。

また体育館を改修したマルシェには、県内の特産品などが集められており、地域内外の多くの人が集まる活気を生み出し、地域経済再生の拠点となっています。

その上、すでにドラマのロケなどでも使われており、今後はロケツーリズムの拠点、地域の観光資源としても重要な役割を担っていいくのではないかと思われます。

このように、この施設の素晴らしさは、豊富な機能性にあるのは間違いありません。ですが、個人的に素晴らしいと感じたのは、「デザインの力」です。

地域のコミュニティ拠点だった学校の面影を多分に残しながら、これだけ多くの機能を違和感なく融合させたのは、間違いなくデザインがもたらしたものです。デザインというと、装飾性を高めるためと勘違いされる傾向にあり、コスト削減の対象になりがちですが、もしこの施設でデザイン設計に費用を注いでいなかったら、きっとこのような賑わいはもたらされなかったでしょう。デザインは目的ではなくあくまでも手段です。学校の持つノスタルジックな空気感と、多くの機能性を融合させるためにデザインの力が活かされたからこそ、地域のランドマークとなったのだと感じました。

そして気になる費用ですが、全体の整備費は13億円。国や県の補助金を活用し、最終的に町の負担は全体の4割ほどで約5億円だったそうです。鋸南町は一般会計予算は49億円と、久喜市の10分の1の規模です。人口も7000人を切っており、地域衰退の真っ只中のはず。そんな町にとっては、決して小さくない事業ですが、地域の未来を賭けたプロジェクトだからこそ、これくらいの費用はかけて然るべきだと判断したのでしょう。

さらにこの夏には、隣にあった旧鋸南町立鋸南幼稚園を活用して、道の駅の拡張を行うとともに、その前面に広場、屋根付きの歩道、待合所、屋外トトイレ、駐車場を新設するそうです。

この素晴らしい取り組みに終始ため息が漏れた気づきの多い1日でした。道の駅が拡張される夏にもまた訪れてみたいと思います。

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